俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

呆れてものも言えない状態のあたし。

それを見て、なにをどう勘違いしたのか、二人がものすごく慌てだした。


「だ、大丈夫悠由!?」


「大変っ。ショックで意識が吹っ飛んでる!」


「杏子! 保健室保健室」


……ちょっと。

その『ショック』もすっ飛ぶんですけど。


「あのー…」


「大丈夫だからね? おいでほら」


「いやちょっと…」


「だめよ! 悠由はあたしのなんだから、邪魔しないでよ美紅!」


「なに言ってんの。この子はあ・た・し・の。杏子こそ邪魔しないで!」


「ちょっと……」


なんかどっかの恋愛マンガとかにありそうなシーン。


右手を杏子に、左手を美紅ちゃんに引っ張られている。

ホントにこの二人……心配してくれてるのか?


「…ハァ」


もう…いいや。なんでも。


いっそこの体が……このまま二つに裂けてしまえばいいのに。


そう思った。


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