俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

美紅ちゃんの返事で、他の子たちよりずいぶん遅く、体育館へ向かう。

その途中のことだった。


「……?」


廊下で、壁にもたれかかる人影が見えた。

その姿に見覚えがあったあたしは、無意識に体が反応する。


「あれ? あの人…」


近づくにつれ、人影ははっきりしてくる。


「……!!!」


やっぱり…だ。





「先輩……」



「え…!?」


「うそ!」


二人が息を呑んだのが分かった。

そっか…杏子達は、先輩の顔知らないんだっけ。


様々な意味でのドキドキが止まらなくなる。


「先輩って……篠原先輩?」


独り言のように呟く杏子。

あたしはそれに返事ができなかった。


先輩が……明らかにあたしに近づいてくるから。


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