俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「悠由…」
「っ…!」
ビクンと大きく肩を揺らし、一歩後ずさった。
……怖い…。
杏子がそれを分かってくれたのか、かばうようにあたしの前に立つ。
「篠原先輩…ですよね?」
「……ああ」
「なにか用ですか?」
「……」
杏子の言葉にはとげがある。
美紅ちゃんも、警戒心を露にして睨む。
「…悠由お前…」
「っ…もうかまわないで! 先輩なんてだいっ嫌い!!」
思いっきり叫んで、来た道を走って戻った。
悠由!と叫ぶ美紅ちゃんの声が聞こえたけど、立ち止まりはしない。
信じられない…。
どうして? どうして平気な顔して…。
なんで今までと同じ声で、「悠由」なんて呼ぶの?
「なんで……」
なんでよ……!