俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

走って、走って、走って。

ひたすらに走って、溢れそうになる涙をこらえた。


特にあてもなかったのに、着いた先は…屋上だった。



「はあっ……!」


無意識に、先輩と出会った…この場所に来ていた。

ここに来たって、息苦しさがなくなるわけじゃない。

むしろ強まるというのに……なんでだろう。


「…っ……」


下唇を噛み締め、肩で息をする。


ゆっくりゆっくり歩いて、いつも…先輩が寝転がっていた場所にしゃがみ込む。


「……」


そのフェンスに触れると、ここでの数日がすべて、一気に流れ込むように思い出された。


「う…っ……っ!」


先輩……先輩…!

あたし、あたし……。


「すき、なんです…!」


先輩があたしを体目当てだったとしても。

遊びの一環でしかなかったとしても。




それでもあたし……あなたが好きなんです…!



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