俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

やっと来た幸せ


――龍樹サイド――


「悠由!」


一緒にいた、俺を睨んでいた女が叫んだ。

その瞬間。



パー…ン



「っ…」


悠由をかばうように立っていたもう一人の女が、思い切り俺の頬を引っぱたいた。


「最っ低!! 顔だけの男ってロクなんがいないんだわ!」


「は…?」


「悠由のこともてあそんで…! 影で他の女まで抱いて! 恥ずかしいと思わないわけ!?」


こいつ……なに言ってんだ…?


呆気にとられる俺をよそに、ブチ切れた女は止まらない。


「あんたどれだけ悠由を泣かせれば気が済むの? 恋してそれに苦しんで泣くのはあっていいと思うけど! あんな泣かせ方許せない!」


「あんな泣かせ方…?」


クッと眉を寄せて、聞き返す。


「とぼけんじゃないわよ!!」


「杏子! 落ち着いて!」


俺の胸倉を掴む杏子と呼ばれた女を、もう一人が止める。


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