俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
馬鹿が……!
俺を信じろよ……。
…っつーのはまあ、無茶な話か。
あんだけ遠慮なくキスまでしたんだ。
信じろっつーほうが無茶だ。
そして悠由は恐らく……あそこにいる。
半ば確信を持って、久しぶりに走った。
階段を飛ぶように上がると、案の定開いたままの屋上。
やっぱりな…。
ほとんど勘だったが、当たりだったようだ。
「悠由!」
しゃがみ込んで頭を抱えているあいつに駆け寄った。
「先……輩…」
ゆっくりと頭を上げた悠由は、真っ赤な目でそう呟いた。
その顔を見て…胸が痛む。
こいつにこんな顔をさせてしまった。
させたのは俺だ。
悪い……悪い。悠由…。