俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――悠由サイド――
「悠由!」
体の中心を締め付けられるようで、苦しさに耐え切れなくてずっと泣いていた。
そんなあたしに、聞きたくて、聞きたくない。
愛しくて、恨めしい。
あの人の声が届いた。
「先……輩…」
彼にしては珍しく、焦った表情を浮かべている。
そのなかにどこか、悲しげな面影もある。
「いや……来ない、で…」
飛びのくように立ち上がり、後ずさった。
「待て悠由。聞け」
伸びてきた左手が、あたしに触れた。
「いやっ! 触らないで!」
その手を、バシンと思いっきり跳ね除ける。
あの女の人に触れた…。
あの女の人を抱いた……その手で、触らないでほしい。
「聞け!」
「いやっ! あたし先輩の彼女じゃないんです! 聞く必要なんてありません!」
半分泣いたままで、叫ぶように言った。