俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

「あ"ーーっ。死ぬ……」

「悠由…。その声やめな。せっかく可愛いのに台無しだよ」


いやいや……。

数学と英語が二連チャンであれば、これはもうホントに死にますって。


「ちょっと外の風に当たってくるね」


のろのろと立ち上がって、杏子に断りをいれ教室を出た。

なにも外に出なくても…ベランダでもいいんだけど、ちょっと行きたいとこがあったのだ。



「今日も……いるのかな」


そう、屋上。

あんな怖い人嫌いだけど、ちょこっとだけ覗いてみよーかなーなんて…。

なんかちょっと気になるから。



カツンカツンと足音が響く。

やがて階段の向こうに扉が見え、キイィーッと音を立てて開いた。


頭だけを出し、きょろきょろと見渡す。

けれど、視界には青い空が広がるばかりで、人の姿はない。


「いないか……」


いいんだけど、別に。

またなんか……されたらやだし。


そう思って、引き返そうとした。

そのとき。


「ん……?」



< 17 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop