俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

――次の日。

今日はまた一段と寒いんだなぁと思いながら玄関を出たあたし。

そこで目に入った人のおかげで、心はすぐにあったかになった。


「先輩!」


パアァッと笑顔がこぼれるのが分かった。


「今日は早めなんだな」


そう言って、目を細める。

その笑顔に胸がときめいて、寒さなんて吹っ飛んだ。


「いつ来たんですか? 言ってくれれば…」


「今だよ今。行くぞ」


「へっ……あ、はい」


堂々と嘘をつかれ、冷たい手を握られた。


「わ……先輩どうしてこんなに手あったかいんですか?」


外にいたはずなのに…。

中にいたあたしのがずっと冷たい。


「お前が冷たすぎんだよ」


「そんなことないですよー。あったかいですよ!」


…あ。

でも……手があったかい人は心が冷たいっていうし!


「先輩にぴったり…」


「はっ倒すぞ」


「…ちょっとした冗談じゃないですかぁ…」


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