俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
内心、るーっと涙を呑みながらも、足は休めなかった。
だけど……「ちょっとー?」という語尾の延びた聞き覚えのある声で、その足はぴたっと止まってしまった。
「え……?」
「ちょっといーい?」
……!!
ぎゃる…! “ミサキ”だ!
「…っあ、あの…なにか…」
「はあ? なにかじゃないよ。いいから来な」
囲まれて、校舎裏の人気の無い場所へ連れて行かれる。
「……」
「昨日アンタが龍樹と一緒に帰ってたって聞いたんだけど」
「そうそう。どういうこと?」
「まだ二股かけようっての?」
機関銃のように飛んでくる言葉達。
口を開く間すら与えられない。
「いい加減付き纏うなっつーの!! アンタみたいなチビのガキが許されると思ってんの?」
「っ……」
「人には釣り合い不釣合いがあんの。アンタは不釣合い! 分かる?」