俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

なんか……ズピシッと固まってしまった。

漆黒の瞳にはあたしが映ってる。

でも…たぶんそこから脳に届いてない。


「おーい。先輩?」


動くほうの左手を目の前で振ってみせる。

それでも…まつ毛一つ動かない。


「???」


まったくもう…。

先輩ったらどうしたんだろ?


ひたすらに首をかしげ、考え込んだ。


…よし。ここはっ。

心にも無い罵詈雑言で…!

いざとなったら怪我を盾にしちゃえ。


「せっ……先輩のばーか…」


心に決めたものの、いざとなると語尾は弱まる一方。


「せ…先輩なんてー…だいっきらいだあ~……」


……あれれ?

ほんっとうにまったく反応がない…。


どうしちゃったんだ?


奥の手も効果が無く、またひたすらに首をかしげた。

へんなの……。


< 196 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop