俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
なんか……ズピシッと固まってしまった。
漆黒の瞳にはあたしが映ってる。
でも…たぶんそこから脳に届いてない。
「おーい。先輩?」
動くほうの左手を目の前で振ってみせる。
それでも…まつ毛一つ動かない。
「???」
まったくもう…。
先輩ったらどうしたんだろ?
ひたすらに首をかしげ、考え込んだ。
…よし。ここはっ。
心にも無い罵詈雑言で…!
いざとなったら怪我を盾にしちゃえ。
「せっ……先輩のばーか…」
心に決めたものの、いざとなると語尾は弱まる一方。
「せ…先輩なんてー…だいっきらいだあ~……」
……あれれ?
ほんっとうにまったく反応がない…。
どうしちゃったんだ?
奥の手も効果が無く、またひたすらに首をかしげた。
へんなの……。