俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「……悠由」
「…ってはい?」
「よく聞けよ」
「……?」
どうやって逃れようとそればかり考えるあたしに、突如真剣な顔をして言い出した先輩。
ばんそうこうを貼ったほっぺたに手を当て、親指でそっと撫でる。
「お前は……余計なこと考えなくていい」
「えっ……」
「ただ、俺の横にいてくれ。笑っていてくれ」
「……!」
先輩……。
「頼むから……俺から離れるな」
後頭部を引き寄せ、僅かに震えた声で呟くように言った。
「先…輩……」
不安に思うのは…あたしだけじゃない。
同じように先輩も、なにかしら不安を感じるんだ。
そう思った。
そして同時に、嬉しかった。
先輩も…あたしのこと想ってくれてるんだって思うと、嬉しかった。
先輩の気持ち……少しでも聞けてよかった。