俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

ゆるぎない絆


――龍樹サイド――


本人は気付いてるか知らないが……今にも泣きそうな顔をする悠由に胸が痛みながらも、家族が来る前に帰ることにした俺。

右腕を骨折してはいるものの、今日一日様子を見れば家に帰れるらしいしな。


「さて……」


どうしたもんか。

迂闊に俺が動いても…アイツらの神経逆撫でするだけだろうしな。


悠由の言ったとおり、昼の時間以外は会わねーほうがいいな。


「くそが…」


いつか絶対何倍にもして返してやんぞ…。

今はあいつも不安定だからな…なんせ「ちゅーして?」とか言い出す始末だ。

ついには頭がとち狂ったかと…。


「悠由!?」


「……は?」


「あ、わりぃ! 悠由!」


「……は?」


病室を出てすぐのところで立ち止まっていたわけだが、長身の…といっても俺と変わらないが、大学生くらいの男がえらく慌てた様子ですっ飛んできた。


しかもこいつ……悠由っつったか?

なんだ? なにもんだ?


病室に飛び込んでいった男の顔に、誰かの面影が…あった気がする。

誰だ? たしかに誰かに似てんだが……。


なんかこう、懐かしい感じというか、愛しい気持ちを思い出す……。


「……気色悪」


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