俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
そう思っていたのがバレたようで、杏子は身を乗り出してくる。
「なっかなかお目にかかれる一年はいないのよ? 同学年の二年生でさえどこにいるか知らないっていうし」
「ど、どうして?」
苦笑いをこぼしながら聞き返す。
もう、聞いてくれと言わんばかりの勢いだから。
「授業とか、ほとんどサボるらしいわあ。登校はしてるみたいなんだけどね?」
「そーなんだぁ」
はっきり言って、誰かも分からない人のことなんてあまり興味はないけれど。
ていうか強いて言うなら、なんで杏子がそこまで詳しいのかが気になる。
…とは、まあ言わず。
まだまだ続く杏子の情報に、うんうんと相槌を打った。
「あの……」
かれこれ五分は経った頃、ようやく杏子情報も落ち着いてきたかと思うと、見計らっていたかのように同じクラスの男の子が声をかけてきた。
「あ、話し中ゴメン。ちょっといいかな?」
「えっ…あ、うん」
明らかにあたしに向けられているものだと気付き、返事をした。
「じゃあ…ちょっと」
そう言って教室を出ようとする男の子の後を追った。