俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――悠由サイド――
「悠由!」
先輩が出て行って、心にぽっかり穴が開いたような寂しさを感じていると、そんな声と共に那智兄が飛び込んできた。
「な、那智兄?」
「お前大丈夫か? どうしたんだよ…つかその腕! つーか連絡してきた男は誰だ?」
「え、え、え…」
那智兄……珍しい。
こんなに動転してるの初めて見るよ。
「落ち着いてよ那智に…」
「落ち着けるか! 誰だよ連絡してきたあの男!」
「……はい?」
まさか……そっちですか?
妹の怪我を心配しようっていう兄の優しさはないの?
「あ、いや……じゃなくて。大丈夫か?」
「大丈夫だけど…」
なにその取って付けたような…。
連絡してきた男ってもしかして先輩?
どうやって……ってあたしの携帯か。
大丈夫か、と口では聞いたものの、顔はやっぱり「あの男は誰だ」って言ってる。
ここは……なんと言えば?