俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
そして、次の日には元気いっぱいで家に帰ることになったあたし。
右手以外は…やっぱり大したことないんです。
どうしても来るといって聞かなかった那智兄と由那は、「いい」と言うあたしの言葉で説得してくれたママのおかげでいない。
代わりに……。
「ほら行くぞ」
そう言って手を握り、あたしに合わせてゆっくり歩いてくれる先輩がいる。
やっぱり…あたし先輩といたかったんだ。
「本当にいいのか兄貴」
「うん。なんか……変だったし」
普段の那智兄ならちょっと気が引けるけど、なんか変だったから。
心配してくれてるのは分かるんだけど……やっぱり変だったから。
「…? ああそう」
「はい。……あの先輩」
「ん?」
「あのー…すぐ帰るんですか?」
ここはうちと近い。
歩いて帰れるほどの距離だ。
だから…すぐに先輩と分かれなきゃなんない。
「……あの兄貴心配すんぞ?」
「……」
そっか。
そうだよねー……。