俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――次の日。
昼を越しても、夕方になっても、先輩から電話がかかってこない。
朝からずっと不安で不安で仕方ないのに。
夜、なのかな…。
いっそあたしがかけてみようか。
そうだ…それでもいいんだ。
耐え切れなくなって、握り締めていた携帯を開く。
初めて押す先輩の番号。
こんな気分で押すなんて思わなかった…。
「……」
ピッと最後の発信ボタンを押す。
出て……。
―おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません―
「え……」
先輩…?
なんで?
昨日の夜から抱えている大きな不安…もやもやしたものが、大きく膨れ上がった。
「先輩……」
電話を切って、胸を抱きしめて呟いた。