俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
その日は結局、一度も先輩と繋がることはなかった。
そして次の日も……。
「……ハァ」
「どうしたの悠由…学校やっぱり休む?」
「ううん…」
行ったら…先輩がいるかもしれない。
僅かな期待を持って、家を出る。
「先輩……」
いつもなら迎えに来てるのに…。
今日は来てない。本当にどうしたの…?
一人で歩くのがこんなに寂しいなんて。
ふっと顔を上げれば、先輩の背中があるようで。
冷たい左手が、先輩のあったかい手に包まれてるようで。
「……」
寂しさがこみ上げるばかりだった。
「悠由ーっ!」
そんなあたしに、明るさが留まることを知らない声がかかった。
勢いよく振り返ると…あたしとは真逆に、とてもニコニコした杏子。
先輩じゃないのか…と落ち込む自分がいた。
「杏子…」
「大丈夫ー?」
「うん…」
「どこがよ。この世の終わりみたいな顔してさー」