俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――杏子サイド――
もうまさに、この世の終わりみたいな顔、としか言いようのない顔でふらふらと去っていった悠由の後ろ姿を見つめる。
「悠由……」
あんな怪我までして…先輩はなにやってんのよ!
それでなくても落ち込んでるんだろうに。
どうしてそばにいてやらないの?
徐々に、篠原先輩に対する怒りがこみ上がってきた。
事情を知らないだけに、お門違いかもしれないけど…。
それでも怒らずにはいらんないっ!
「待って悠由ー!」
慌てて走って追いかけた。
もーし悠由を泣かせるようなことがあれば……いくら篠原先輩だって容赦しないんだからね?
怒る準備と覚悟を一応しておいて…と。
覚悟ってのは、先輩怖いからね。
いや、ほんと。覚悟がいるよ…。
だけどあたしは少し……浅はかだったようだ。
篠原先輩はいつだって、悠由のことを思っていた。
悠由を守ってくれていたんだ。