俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
走る衝撃
――悠由サイド――
学校に着いて、あたしは、まずあの部屋に駆けつけた。
この時間はどうなのかよく分からないけど…学校に来てるとしたら、この時間はあそこだろう。
「先輩!」
ガラッと扉を開ける。
「……」
いない……。
だよね…。
「ハァ…」
大きく深くため息をこぼし、行きとは逆に、重い足取りで教室へ戻った。
お昼を待とう。
きっと……きっと、お昼には…。
そう自分に言い聞かせ、杏子達に心配かけないよう口元を吊り上げる練習をしながら歩いた。
「澤村さーん。変な顔になってるよ」
「え?」
通りすがりの女の子に笑いながら言われたけど…。
まいっか。
……あれ。
なんで名前知ってるんだ?
「??」