俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
玲菜さんの言ったとおり。
まったく応答はない。
「じゃ……いっちゃいますか♪」
薫さん…。
なんか楽しそうですねぇ…。
カチッと鍵を開け…扉を開ける。
…ほ、ほんとに入っちゃうの?
主のいない家に…?
…とかいいつつも、一緒に着いていってしまうあたしって…。
「おーい龍樹ー? いないのかー」
「愛しの悠由ちゃんつれてきたわよ~」
しーん。
…ってやつですな。
誰もいない。
「……」
先輩の部屋……。
初めて来た。
よもやこんな形で来ようとは…。
ぐるりと全体を見渡しても、生活感が一つもない。
「やっぱりな…」
「え?」
後頭部に片手を当て、ぽつりとそうこぼした薫さんを振り返る。
『やっぱり』……?
まるで分かっていたような口振りだ。