俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
―――……
「おはよ悠由」
「杏子…」
次の日、あたしは正直学校へ行きたくなかった。
先輩が来ないという現実を、目の当たりにしたくないから。
だけど家にいても嫌なことばかり考えるだけ。
気を紛らわすために出てきた。
「悠由……。…あ、そうだ。今日久しぶりに遊び行く?」
「なに言ってんのよ。悠由は怪我が治ってないのよ」
「あそうか……」
「いいよ。大丈夫だから」
楽しいことして……気が滅入らないようにしたい。
そう思って、笑顔を貼り付けて答えた。
「そっか…じゃあ放課後行こうね!」
「うんっ」
杏子が気を遣ってくれてるのはよく分かる。
だからこそ、あたしは笑わずにはいられない。
「じゃああたし、先行くね?」
「あ、うん」
ばいばい、と手を振って、教室へと向かった。