俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
まるで自分を納得させるように言ったあたしを不思議に思ってるようだったけど、幸いなことに予鈴が鳴り、みんなして慌てて教室へ走った。
「もうーっ遅刻するとこだったじゃん!」
「なによ美紅のせいよ?」
「なに言ってんのよ。あんたでしょ」
「まあいいじゃん……間に合ったんだし」
例のごとく、喧嘩を始めようとする二人を寸前で止めた。
危ない危ない…。
一度始まると止まんないからねー、この二人。
いつまでも睨み合う二人をよそに、授業は刻一刻と進んでいく。
そしてあたしは…やっぱり、休憩ごとにあの部屋へ顔を出した。
来ないって分かってる。
でも来るかもしれないって思ってる。
来てほしいって…思ってる。
「ハァ……」
お昼は、またクロワッサンを買って部屋へ来た。
でも当然…いないのだから、今日何度目かのため息を落とす。
「一…二…三、四」
パン…、こんなに溜まっちゃったよ…先輩。
もう最初のはダメになっちゃうよ。
早く…早く食べちゃわないと。
袋をガサガサつつきながら、時が経つのを待った。