俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
――杏子サイド――
「え……? く、久遠先輩!?」
確かにあたしは…手伝って、と怒鳴った。
それはもう思いっきり。
この際誰でもいいとすら思った。
でもまさか……。
まさか、篠原先輩に並ぶ、別の意味でまた有名なこの先輩だなんて想像もしていない。
しかも悠由は、気を失う寸前…「薫さん」と言いかけた。
知り合い?
いや……篠原先輩と付き合ってるんだからそれもおかしくはないか。
一瞬の間に超スピードですべてを理解し、歩き出す久遠先輩を追った。
「あの……」
遅れて追ってくる美紅を一瞥してから、恐る恐る声をかける。
「ん? …あ、悠由ちゃんの~…友達?」
「あ、はい…まあ」
「保健室でいーよね」
「は、はい」
…いや。
他にどこなのよ。
思わず突っ込みかけた。
「よいしょ…あちょっと開けてくれる?」
悠由を抱きかかえている久遠先輩の代わりに、保健室の扉を開ける。