俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「ごめんね杏子…美紅ちゃん。また心配かけちゃったよね…」
とても申し訳なさそうな顔をしてゆっくり起き上がる悠由。
それを手伝いながら、あたしは恐らく美紅も思っていることを言ってやった。
「なに言ってるの。もちょっと相談しなさいあんたは」
「そうよもう……ばか」
…あ。またばか言った。
美紅のやつ……泣きそうなほど心配なの、ごまかす気だな?
「ご、ごめんなさい…」
しゅんとなる悠由の頭を、くしゃくしゃに撫で回した。
「にゃっ……」
「あははっ。悠由ちゃんかわいー」
「あっ。薫さん!」
は?
いやいや……さっき認識してなかった?
なに今気付いたみたいな顔してんの?
「なんで?」
「だから……久遠先輩が運んでくれたって言ったじゃない」
「くどおせんぱいって?」
「……」
おいおい…。
「悠由ちゃん悠由ちゃん。俺の名前、久遠薫ね?」
「そうなんですかぁ」
なにまったく同じやりとりしてるの…この二人…。