俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

心の涙、その理由


――龍樹サイド――


俺が悠由のもとを去ってから、一週間が経とうとした。

毎晩毎晩…眠るたびに、あいつの泣き顔が夢に出る。


「ふう……」


「あら…大丈夫?」


「…千絵」


「だからお姉様でしょ?」


おばさんだろ。

色々と。


……と言って何度殴られそうになったことか。

もうさすがに言わねぇ。


「顔に出てるわよ~?」


「……いや」


「…なにもさ、あんたが逃げることないんじゃないの?」


「……」


俺は今……千絵の家に居候状態だ。

ここは一番見つかりやすく、そして一番見つかりにくい。

俺が見つかるわけにはいかねぇんだ。


「…いや。俺が逃げ隠れしなきゃなんねんだよ」


「彼女を守るために?」


「……」


守る、か…。


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