俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

ぎゃーぎゃーと言い争いを続けること十数分。

いい加減馬鹿らしくなって与えられた部屋へ引っ込んだ。


「ハァ……」


ったく…めんどくせぇ。


ガシガシッと頭を掻いて、ベッドへ仰向けに転がった。




「……」


出所して……少しは変わったのかよ、親父…。


目を閉じると…思い返されるのは小学中学時代の頃。

そして四年前の…姉貴が死んだとき。

三年前の、母親が死んだときだ。


「…っ…くそ…」



泣いてる。

泣いている。


記憶の中の、昔の俺が……。

今もずっと、泣き続けている。


現実には渇いた涙。

心の中の俺は、五年間ずっと……泣き続けている。



< 244 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop