俺様狼と子猫少女の秘密の時間①


―――……


「っはあ…!!」


……。


「はあ……っ…くそ…」


立夏……!

俺は今でも……お前が自殺したなんて…信じたくねえ。

俺にとって姉貴は絶対の存在。

絶対の…存在だったんだ…。



「…っく……」


いっそ……泣いてしまえたら、と思う。

あのとき結局…俺は泣けなかった。

いじめが原因だったという。

親父の逮捕で陰湿ないじめを受けていたと。


……またか。

また…あの親父は、立夏を傷付けたのか?

親父が……立夏を殺した。


そう思うと、涙よりも憎しみ、怒り、恨み。

そういった感情が表に出てきたせいで。

泣けなかった。


「ハア……くそ…」


もう四年だ。

四年も経った。


なのに俺は……何一つ忘れてはいない。

そのときの状況、母親の姿、音、匂い、すべて。

感情までも……なにもかも。

鮮明に記憶している。


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