俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「澤村悠由」
「はい」
「……言うなよ」
「…はい?」
一瞬目をそらしたかと思うと、「言うなよ」ときた。
はて……。
あっ!
この人実はキス魔ですって言うなよってことか!
「ここに俺がいること言うなよっつってんだよ馬鹿」
「あ、そっち」
てか馬鹿って……。
「言ったら……どうなるか分かってんだろうな」
「でも……杏子は知っ…」
「助けてやったの忘れたのか」
杏子はもう知ってる、と言おうとしたら、強く遮られた。
しかも助けて……?
あたし、この人にはキスされた記憶しかないんですが。
そんな思いが顔に出ていたのか、若干イラついた口調で先輩は言った。
「お前男に告られてたろうが」
「あ……」
あのときですか……。