俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
第七話 悲しみは突然に
悲しき失踪の理由
――悠由サイド――
先輩が……いなくなった理由が…?
そう言われて、無意識に杏子の手を握り締める。
「ああ。俺さ、中学一緒だったんだけどね?」
「はい…」
「そんとき……というかその前からなんだけど、ある事件があった」
事件……。
ごくりと喉を鳴らしたとき、美紅ちゃんと杏子が遠慮がちに口を開いた。
「あ、あの…あたし達出てましょうか?」
「ね、悠由。大丈夫よね?」
「ああ、いいよいいよ。君らならきっと…」
「え、でも…」
「悠由ちゃんのそば……いたげてよ」
薫さんは優しい。
最初は不信感まみれだったけど、本当はとても優しい人で……本当に先輩の親友なんだなって思った。
「あ…はい、じゃあ…」
座り直して、またあたしの手を握り締めてくれた。
「…俺らが小六のとき、あいつの父親が逮捕されたんだよ」
「…!?」
そこから始まった薫さんの話……。
あまりに辛い、先輩の過去だった。