俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
助けてもらったという記憶ではなく、いきなりキスされた、という記憶のほうが強く残っている。
当たり前だけど。
「えーと。ありがとうございました?」
「……舐めてんのか」
「え!?」
な、なんで?
思いっきり慌ててしまうあたし。
だって……先輩の顔、怖すぎです。
片膝を立てて、そこに右手を置き……上目遣いに睨まれる。
鬼より怖いです……。
キレた那智兄より怖いかも…。
あたふたするあたしに、「もういいから授業でも何でも行け」とそう言って、追い払うように手を振った先輩の言葉に甘え(?)、屋上を逃げるように飛び出した。
な、なんてこと……。
本当に、彼の本性はとんでもなかった。
怖いしキス魔だし那智兄より怖いしキス魔だもん!
「ありえない~~!」
もう屋上には二度と行かない! とそう決めたのだった。