俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
涙の先に
――悠由サイド――
「悠由……!?」
驚きの入り混じった声が、背後から聞こえた。
あたしの……大好きな人。
大好きで大好きで…声を聞くだけで、胸が締め付けられる。
この……声。
「先…輩……!!」
振り向くと同時に立ち上がり、目を見開きポケットに手を入れて突っ立ったままの先輩に駆け寄る。
「先輩……!」
すでに半分泣きながら、勢いよく飛びついた。
先輩……先輩だ…。
「悠、由…」
ぎゅううっと首にかじりつく。
先輩は……未だ固まったまま。
「ばか……先輩のばかぁ…!」
「お前、悠由……なんで…」
「うう~…っ」
ようやく我に返ったように、ポケットから手を出してあたしの腰と首の後ろに回す。
やっぱり…あったかい。
先輩あったかいよ…。