俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
『おかえり』
――龍樹サイド――
あっちへふらふらこっちへふらふらと、なぜか足取りの覚束ない悠由をずるずる引きずって、(千絵に文句を言いに)帰った。
「…ん?」
鍵……閉まってるし。
まさか…。
「どったの?」
「いや…鍵が。……って」
『どったの』……?
今の悠由か?
自分の耳を疑った。
そして自分の目も疑った。
さらに自分の手の神経までもを疑った。
…要するに自分のすべてを疑った。
なんかこいつ一皮むけたか?
「? せんぱーい?」
「あ…ああ。いや、別に。問題はない」
鍵はあるけど…。
もしかしてあいつ逃げたんじゃねーのか?
嫌な予感を胸に抱え、鍵を開けた。
「おい!」