俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

「龍樹ーっ! なんで電話切るのよっ!」


…………は?


「どこ! 部屋?」


…………は?


まさか家の前にいながら電話してきたのか?

嫌な予感を胸に、勢いよく扉を開けた。


「あ! あんたねー。勝手に切るってどうなのよ……って」


案の定、だ。

ハァ、と大きくため息をついた。


「……あのねぇ。も少しこう恥じらいってものを持ちなさいな」


「あ?」


「この季節、上半身裸で部屋から出てきたら『ヤってました』って言ってるのと一緒よ」


……ああ、どうりで。

妙に寒いと思ったら。

服、服…。


部屋に引っ込んで、放り投げてある洋服を掴んだ。


「…ね、ね。彼女は?」


「入んな」


服を着ながら追い返そうとする。


「いいじゃないちょっとくらいー。減るもんじゃなしに」


…減るんだよ色々。

例えば清純さとか。

他にも純真さとか。

その他無垢さとか。


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