俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「やめっ……先輩~…」
「時間守るし…」
「そういう問題じゃないですよう…」
口では拒否しているものの、表情と瞳は完全に誘っている。
胸に伸びた手は……もはや俺の意思では止められん。
諦めろ、悠由。
「っ……」
気付いていた。
気付いていたけれど、計算のうちなのだから当然気付かない振りをした。
悠由に怪我をさせた…女の一人。
口で言って分かるようなやつじゃない。
だから薫に、薫の名でここへ呼び出させた。
偶然俺がいたように装うために…。
「先…輩……っ」
ずり落ちないよう首にかじりつく。
後頭部と腰に手を回し、悠由に口付けながら…一瞬だけ、ドアの外にいる女を睨み付けた。
『二度とこいつに手を出せば容赦しない』
そういう意味をこめて…。
わざと見せ付けたのは、あいつが興味やミーハーではないと知っていたから。
本気なら、言いふらすようなこともできない。