俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

ため息をつきながら、一人ふらふらと歩く。

杏子は例によって部活だし、美紅ちゃんは何気に方向が違ったりする。

先輩はメールがあったし、久しぶりに一人だ。


先輩がいなかったときは、杏子が一緒に帰ってくれた。

部活を休んだり早めに引き上げたり、あたしがちょっと待ったりして。


迷惑かけたよね…本当。

でもありがたかった。



「ん? 悠由」


「へ?」


あ…那智兄だ!


右からかかった声に振り返ると、袋を抱えた那智兄が歩み寄ってきていた。


「どうしたの那智兄」


「今日休講だったから本屋」


「へー…」


休講じゃなくてもしょっちゅう休んでる人がねえ?


「帰りか?」


「うん。そだよ」


「まさかお前、いつも一人で帰ってんのか?」


「今日はたまたま…」


わおー…。

那智兄の病気が出たよ。

心配性。


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