俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
頭の上から、聞き覚えのある声が降ってきた。
まさかそんなハズはない、と自分に言い聞かせながら、恐る恐る顔を上げると。
「し、篠原先輩…!」
…まさかそんなハズは……あったみたいです。
「なにやってんだお前、そんなとこで」
ポケットに両手を突っ込み、腰をかがめてあたしに問う。
慌てて立ち上がりスカートの埃を払いながら、「い、いえなにも…」と挙動不審に返した。
「……傘がねーってクチか」
「え"」
早速バレた。
雨が降り注ぐ外とあたしを見比べて、すぐに見抜いたようだ。
「いや~…あの……えーっと」
さらに挙動不審になっているのは分かってるんだけど…。
はいそうですともなぜか言えない。
「ったく……馬鹿だな」
「んなっ…」
ば、ばかですとな!?
雨が降るなんて予想できないもん、仕方ないじゃない!
「……って…はい?」
突き出されたのは……黒い傘でした…。
……予想してるしこの人!