俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「そんな…みんながみんなそうってわけじゃないんですよ…えーえーそうですとも。あたしが馬鹿でしたよ…」
「なにをぶつくさ言ってんだ。さっさと帰んぞ」
「えー、えー。どーせ…………は?」
今なんか……本来聞こえないはずの言葉が聞こえた気が。
「つーかお前…鞄……あ。あった」
呟くと、ひょいっとそれを拾い上げ、未だにぽかんとしているあたしの腕を掴み、傘を差して当たり前のように歩いていくのだった。
「……」
「……」
……?
んーと…あれ?
「あのー…なにやってんですか?」
「は? 帰るんだろうがよ」
そう言って、他に何がある、というような表情をする。
も、もしかして……傘のないあたしを送ってくれようと…?
ようやくそう気付いたあたし。
ぶっきらぼうな優しさに、胸がときめいた。
「……って…」
わ…ま、まだ手握ってるし…!
ていうか一つの傘に二人で入るから、妙に密着してる。
…ドキドキしてる。あたし。
なんかすごく…。