俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
え? えーとあたしんち?
「あ、はい。えーっと…あっちっす」
「…………はっ倒すぞてめぇ」
「す、すみません…」
あたしも今気付いたんですよ。
方向真逆だってことに…。
だってそれどころじゃ…なくて…。
「ったく…早く言いやがれ」
「先輩の家…こっちなんですか?」
もし逆なんだったら悪いなと思って聞いてみると。
「いや。同じ方向」
……じゃなんで反対方向に歩いてたの?
「…悠由」
「っは、はい」
…やっぱり…名前呼ばれると胸がきゅってする…。
「…………いや、なんでもない」
「は…? そ、そうですか」
確かに先輩はなにか言いかけた。
その瞬間……心なしか、あたしの手を握る力が少し強まった。
どうしたのかな?
このとき、あたしはもう完全に、先輩に心を奪われていた。