俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「…………」
「…………」
先輩と向き合うこと数分。
交わる視線から、寿命が削り取られていそう。
「……お前」
「は、はいぃっ!」
うわわわわ……。
びびびっくりした…。
「なにやってんだよ」
「いっ、いえべつに…」
そうだよそうだよ。あたしなにやってんの?
なにしに来たんだっけ……。
意味もなく焦りすぎて、本来の目的を見失ってしまっている。
えっとえっとえっと……。
頭を抱えて必死で考え込んだ。
「…あ!」
そうだ思い出した。
昨日お礼を言い損ねたから言いに来たんだった…。
「…?」
先輩は、一人で満足しているあたしを訝しげに見ると、横をスッと通って扉の向こうへ行ってしまった。
「あっ! ま、待ってくださいよー!」