俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「……」
「……」
「…俺はお前を……」
「え…?」
沈黙が続いた後、独り言のように先輩が呟いた。
「……」
「あ、あの…篠原先輩…?」
右にそらしていた顔を正面に戻し、あたしを見下ろす先輩の顔を覗き込んだ。
「…!」
その表情を見て……目を見開いてしまった。
切なげで…見ているこっちまでもが悲しくなってしまいそうな顔。
なにか言いたそうで、言いたくなさそうな顔。
先輩……こんな顔、するんだ…。
「せん……」
「ふっ……なに泣きそうな顔してんだよ」
「えっ…」
悲しげな表情のまま笑う。
そして、優しくあたしの頬を撫でた。
「篠原先輩…どうしたんですか?」
「どうもしねーよ」
そう言って、右手で支えていた後頭部をそっと引き寄せ、反対の手を腰に回した。