俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
あ、あたし……。
なんで先輩のことで一喜一憂してるんだろ。
「いいいいや気のせいだよ気のせい!」
「んー?」
ニマニマして擦り寄ってくる杏子。
…っ絶対……気のせいなんだから…。
「き、杏子っ。あたしもそれちょーだい」
「えー? 悠由のそのご機嫌の理由を教えてくれたらいいわよー」
「じ、じゃあいいよ」
「じゃあ悠由ちゃん。あたしのあげるよ」
「紅葉ちゃあ~~ん!」
優しい…究極に優しい!
本当に杏子と姉妹なんだろうか…否。
きっと反面教師ってやつね。
「アンタ今さ…密かにあたしに失礼なこと考えてない?」
「まっさか~」
ちょっとした仕返し…です。えへへ。
――甘過ぎる狼さんの誘惑に、不思議と穏やかな気持ちになっていた。
気付かないうちにそれを…大事に心の奥底にしまいこんだ。