俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
国語担当の石岡先生だ。
彼はその不必要なまでの熱血さに、生徒達から疎まれている。
「さ! 座れ座れ」
女の子達には「触んないでよー」と言われ。
男の子達には「うぜー」なんて言われ。
「…ホント、毎回の如く憐れだよね石岡」
「ははは……」
美紅ちゃんにそう言われる先生の授業は、性格と同じでものすごく熱い。
だからあたしは窓の外に目をやり、一時間をやり過ごした。
「はぁ…」
石岡先生が終わっても、まだまだ授業は残ってる。
数学なんて……数学なんて…!!
「なに言ってんだかねーこの子は…。あんたこのクラスで一番成績いいのに」
「そんなわけ…ないじゃん」
うつ伏せていた顔を少しだけ起こし、呟くように言った。
美紅ちゃんは優しいから、「杏子が隣にいない代わりにあたしがいてやるわ」と言って、授業が終わるごとにそばに来てくれる。
うん、きっと杏子より優しい。
なんたってあの人、冷たくなればとことん冷たいからね。
そうだそうだ、と心の中で自分にエールを送るあたしを現実の世界に引き戻したのは、携帯に届いたメールだった。