俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「…おせー」
「すみません~…」
仕方ないじゃんっ。
まったくもう……。
微かに頬を膨らませて、フェンスにもたれかかる先輩に歩み寄った。
「なにがいいのか分からなかったんですけど…」
「なんでもいい」
あ…そう。それはよかったわ…。
じゃ文句言わないでくださいね。
「じゃー…あの、これ」
両手に抱えたパンを差し出した。
それを数秒黙って見つめた後、クロワッサンを指差す先輩。
「あ…はい」
…ってそれだけ!?
こんなに買ってきちゃったのに…。
あたしめろんぱんしか食べらんないよ。
「ん」
「え?」
どうしようかと考えていると、先輩が、早くもクロワッサンをかじりながら手を差し出してきた。
なにがなんだか分からずに、その手と先輩の顔を交互に見比べる。
「早く取れ馬鹿」
「ば……」
馬鹿って!と叫びかけて、右手に無理やり握らされたものを見る。
「……?」