俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

つか……なんだよこいつ。

つかみどころのない気まぐれなやつかと思ったら…。


「ほれ」


「いひゃい! にゃんでひっぱるんでふかあ!」


「くくっ……」


からかいがいはあるし、見ていて飽きない。

案外単純なやつだ。


「うにゃあ~~~……」


…それに……すぐ泣く。

今だってすでに、もう目が潤んでいる。


「うう…いたかった」


「かわいそーに」


「うそばっかあ!」


その上すぐ怒って、顔を真っ赤にする。


キスをしたときの甘い声がたまらないし、抱きしめたときの温かさが心地いい。

猫っ毛のふわふわした髪の毛に触れる感触がすごく好きだし、大きくつぶらな瞳に見つめられると、心臓が締め付けられるような痛みに似たそれが走る。



俺はこの……今目の前で目を潤ませて半べそをかいている、泣き虫な子猫が。



「うにゅ~~……」



……すげぇ好きだ。



< 66 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop