俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
隠せぬ戸惑い
――おかしい。
あたしはおかしい。
ずえぇーーーったいに、おかしい!
「……確かに」
「にゃっ」
こちらをチラリとも見ずにピシャリと言い切ってみせた先輩。
その言葉にダメージを喰らいながらも、思い出すのは昨日。
冷静になって考えると、抱きついて泣いてしまった自分が恥ずかしくて恥ずかしくて…。
そのあとの先輩の笑顔といったらもう想定外過ぎて…。
「いつまで見てんだよ」
「ひえ!?」
「……なんだそりゃ」
…いえ。別に。
…いやいや。
それよりなにより、もっと“あれ”なのは、泣いてしまったということ……。
私にはそんな理由もなければそんな立場でもないはずなのだ。
「はあ……」
「……?」
いちごジャムのパンの袋を開けようとしていた手は、ため息と共に止まった。
そして……改めて昨日を思い出すのだった――…。