俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
あたしはこの人達に目を付けられるようなことをした覚えがない。
表には出ないものの、内心少し焦っていた。
「なーんだ。こんなヤツかよー」
「ミサキが心配することないって!」
は……。
な、なにごと…。
あたしが返事をすると、途端にきゃあきゃあ騒ぎ出す。
「確かにィ。あー無駄な時間過ごしたわぁ」
「ちょっとアンタ。いくつか忠告しとくけどね、人のカレシん手ェ出すなんてサイテーだよ?」
「え…?」
ひとのかれし……?
って、一体なんのこと?
疑問が顔に出ていたのか、リーダー格らしいミサキと呼ばれた彼女が口を開いた。
「龍樹はアタシを抱いたのよ? このア・タ・シ。アンタみたいなガキお呼びでないってことよ!」
「!?」
だい……?
誰が…なに、って…?
「そうそう、あとねぇ。アイツってぇーキスが好きだから? 女なら誰にでもしてるかもしんないけどぉ。本命には逆にしないのよ~?」
いちいち語尾を延ばした猫なで声で言い、キャハハ!と甲高い声で笑った。
…なんでだろう。
あたし…先輩に命令されて困ってただけのはずなのに。
なんでそんなこと言われて…胸が痛むわけがあるの?