俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
「じゃ、そういうことだから。自分の身の振り方考えときなさいよね!」
そう言って、一人ひとり通りすがりにあたしを蹴り、笑いながら去っていった。
「…………」
なに…?
なんか苦しいよ…。
『龍樹』って…言ってた。
先輩がキス魔だって知ってた。
屋上にいることだって、知ってた。
…本当、なんだ……。
そう認識した途端。
胸の底からこみ上げてくるものがあった。
「ふ……!」
やだやだやだ…。
なに?
なんであたしが苦しいの? 胸が痛いの?
関係ないよ…そんなの。
「関係、ないのに…。なんであたしに言うの…?」
ついこぼれた呟きは、誰にも拾われず、静粛に呑まれていった。
自分の意思とは正反対に、勝手に流れる涙。
蹴られた場所なんかより数百倍も、心が痛かった。
あたしが…泣く必要なんてない。
関係ないんだから、そんなのどうだっていいことじゃない。
必死で、自分にそう言い聞かせた。