俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

まさか忘れたわけじゃあるまいし…。

……??


「ちょっと…キス魔だとか言ってたくせに、あの先輩に惚れたの?」


「惚れた!?」


どうやら、あの篠原先輩と接点? という意味ではなかったらしい。

でもでも、甚だしい勘違いだ!!


「だから好きなわけじゃないってばぁ」


「いっや~……悠由って強引にされるのに弱いんだー」


「ちょっと…」


「うーん、確かにまあお願いされたら断れないタイプだしねえ」


「聞いてんの?」


ダメだ。

完全に自分の世界に入ってる。

そしてその中ではあたしは篠原先輩が好きだってことになってるし。


諦めて、クッキーに手を伸ばした。



そしてその後、帰るまで。

杏子はずっとなにかぶつぶつ言っていた。


一体…彼女の中であたしはどんなことになってるのか、怖いくらいだ…。


「じゃーね。また明日」


上の空でそれだけ言い、考え込んだまま帰っていく杏子の後ろ姿を見ながら思った。


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