俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
雲の上の存在
――龍樹サイド――
「あっ。しーのはーらくぅ~ん!」
「……てめぇ」
二時限目だけ授業に出た俺は、もういつもの場所に向かおうとしていた。
教室を出た所で……邪魔が入ったけど。
「どこ行くのかなー?」
「別に」
「別にってこたないでしょうよ。…便所?」
「……」
女のくせに堂々とそんなことを口にするのは、中学の同級生中井玲菜(ナカイレナ)。
竹を割ったようなさっぱりした性格で、顔の割りに色々と遠慮がない。
そんな彼奴を無視して行こうとする俺の前に、また立ちはだかる。
「ちょーっとちょっと。冗談よーそんな怒らなくたって」
「別に。どけ」
俺は、悠由以外に文章で喋ることはない。
それでも、こいつとは喋るほうだ。
「あ。もしかしてー……彼女とか?」
「……」
ピタリと動きを止める。
自分でも、分かりやすいなとは思った。
「え……そうなの?」
「…別に」